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Silver Nullf MoviesReview

SEVEN

サイコ

Summary

七つの大罪になぞられた連続殺人事件を担当することになった、この町に来たばかりの刑事ミルズと定年間近のベテラン刑事サマセット。
2人は犯人逮捕のために奔走するのだが・・・。

Review

1995年制作のサイコ・サスペンス映画
監督:デヴィッド・フィンチャー
脚本:アンドリュー・ケヴィン・ウォーカー
製作:アーノルド・コペルソン

危険な町にすすんでやってくる。奥さん連れてやってくる・・・。ここに、この男の人となりが見えている

以下ネタバレにご注意下さい。

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ストーリー(長いので注意!!)

    • 流れ
刑事のミルズは移動を願い出て、妻のトレーシーを連れて犯罪都市へとやってきた。着任初日に事件が発生し、署へ向かう暇もなく現場へと赴いた。
殺人現場でサマセットに挨拶をした。サマセットは長年この町で刑事として働いてきたベテランの男で、あと1週間で定年を迎えようとしていた。
ケンカをしてまでわざわざこの危険な町へとやってきた血気盛んなミルズに、1週間は(私が定年を迎えるまでは)おとなしく見ていろと話した。

・月曜日-第一の事件<大食>-
肥満体型の男がパスタに顔を埋めて死んでいた。心臓発作かと思われたが、足と手は縛られていた。
検死の結果、胃には食事がパンパンに詰り、内壁が避けていた。額には銃口を当てた痕が残っており、12時間以上も食事を強制的に摂らせていた。被害者は喉が腫れ、気を失ったのち、犯人に腹を蹴られ内臓破裂で死亡したとみられた。

サマセットはこの手間のかけかたは何か意味があると考え、これは始まりだと分署長に話した。定年間際のサマセットは、残り6日で片付くような事件ではないと感じ、事件を降りようとする。加えて、ミルズにこの事件は荷が重いと判断したことも一因としてあった。
それを聞いて怒りをあらわにするミルズだったが、分署長はミルズを担当から外し、サマセットに巨漢の男の後片付けを頼んだ。

・火曜日-第二の事件<強欲>-
弁護士が殺される事件が発生し、ミルズが担当することになった。カーペットには血で「強欲」と書かれていた。

一方、デスクワークに励むサマセットの元に分署長がやってくる。弁護士殺害事件が起き血で「強欲」と書かれてことを話し、肥満男の胃の中に入っていた物だとプラスチック片を置いていった。
サマセットはそれを見て、もう一度肥満男の家へと向かった。

部屋を見渡すサマセットは、冷蔵庫の前にあった床の傷に気づいた。プラスチック片を合わせてみるとピッタリと合致する。冷蔵庫を動かしてみると、そこにはメモが貼られ壁に「大食」と油で書かれていた。

メモには「地獄より光に至る道は長く険しい」とジョン・ミルトンの「失楽園」の一節が書かれていた。サマセットは肥満男の事件が始まりであり七つの大罪になぞられていると分署長に説明した。つまりあと5つは起こると断言したサマセットは事件へ関わることを断固拒否した。

サマセットは図書館へ行きミルズのために役に立ちそうな七つの大罪関連資料をコピーして彼のデスクに置いた。

・水曜日
仕事場にミルズの妻トレーシーから連絡が入り、サマセットを夕食に招待することに。
夕食後、ミルズとサマセットは弁護士殺害について話す。
弁護士は1ポンドきっかりの肉を天秤に乗せるように命令され、縛られてない右手で自らの腹の肉を削いでいた。犯人は被害者たちに罪のあがないをさせる目的があるとサマセットは考えた。
ミルズは現場にあった弁護士の妻の写真を見せる、その写真は妻の目の周りが血で塗られていた。何かしらの意味があるはずだと二人は弁護士の妻に会いに行った。

弁護士の妻に現場写真を見てもらうと、掛けてある絵が逆さまだと教えられる。
現場へ行き絵を調べる二人、絵には何もなかったが、絵の裏の壁には指紋で「HELP ME」と書かれていた。
指紋を調べるために照合にかけることになったが、時間がかかるため二人は署のソファーで眠った。

・木曜日-第三の事件<怠惰>-
指紋の男の正体が割れた。男の名はアラン(通称ビクター)、長い間精神を病んでおり、麻薬や強盗、少女暴行で服役経験があった。
分署長はビクターを一連の犯人だとし、突入を決める。しかしサマセットはこの男が犯人とは思えなかった。

突入するとビクターは毛布をかぶりベッドで寝ているようだった。毛布を外すと、そこには痩せこけた蝋人形のように成り果てたビクターが縛られていた。壁には「怠惰」の文字があった。
ミルズが箱の中から何枚もの写真を見つけた。ちょうど1年前のまだビクターだと認識できるものから、3日前に取られたものまで、経過を記録した写真だった。
ビクターは全く動く気配がなく死んでいると思われていたが、突然動きだした。サマセットは救急車を呼び、ビクターは病院へと運ばれて行った。

犯人に振り回され感情的になるミルズをサマセットが落ち着かせようとしているところへ、忍び込んだ記者がやってきて写真を撮った。ミルズは激怒しカメラを叩き落とし追い払った。

病院に運ばれたビクターは1年間寝たきりの生活を強要され、多種多様な薬品を投与され生かされていた。脳が軟化し、舌も噛み切っている状態で、目に光を照らしただけでショックで死ぬというのが医師の所見だった。

夜、サマセットの家の電話が鳴った、トレーシーだった。彼女はサマセットに相談したいことがあると話した。

・金曜日
サマセットはダイナーでトレーシーと会う。トレーシーはこの危険な町に馴染めずにいた。妊娠していることを打ち明け、この町で子供を産むことに不安を感じている様子をみせる。
サマセットは、自身が昔付き合っていた女性との間にできた子供を堕胎させた経験がある(このひどい世の中に生まれることを悲観したため)ことを話し、産まないのなら妊娠はミルズに話さず、産むなら精一杯甘やかして育ててやれと優しく話した。

署でサマセットはミルズに犯人像を聞かせた。
犯人はビクターを縛りつけ、ちょうど1年後にサマセットたちに見つかるように計算していると。手を切り取り、その指紋を壁に残した(HELP MEの指紋)のだと。
犯人は入念で緻密、何より我慢強いと推測した。

サマセットは、七つの大罪関連の資料を借りた人物をFBIの知り合いに調べてもらった。その結果、ジョン・ドウという男が浮上する。
ジョン・ドウの部屋の前に着き、ノックをするが応答はない。すると廊下の先に立っている男の姿にサマセットが気づいた。男は腰に手を当てると有無を言わさず銃を抜き発砲してきた。
二人とも被弾はしておらず、ミルズはすぐさまジョン・ドウと思われる男を追いかけた。男を追いかけるミルズだったが死角から殴られ、銃を突きつけられてしまう。だが男は引き金を引かずその場から去って行った。

頭に血が上っているミルズはジョン・ドウの部屋へと令状なしで入ろうとする。サマセットが必死に止めるが感情で動くミルズはドアを蹴り破る。
ミルズは金を使って人を雇いでっち上げの証言を話させ、ドアを蹴破った大義名分を作った。

部屋には事件の証拠となるものが数多くあった。ミルズは自分が写っている写真を見つける。忍び込んで二人の写真を撮った記者がジョン・ドウだったのだ。

部屋に指紋が一切なく、2000冊にも及ぶ膨大な日記があった。調べるにしても、あまりに膨大で次につながる何かを見つけるには時間がかかりすぎる。

その時電話が鳴った、ミルズが電話に出るとジョン・ドウは自分を見つけたことを褒め、そして今後の予定を変えると話して電話を切った。
部屋には次の犠牲者とおぼしき女性の写真が残されていた。

・土曜日-第四の事件<肉欲>-
ジョン・ドウの部屋にワイルド・ビル皮革店の控えが残されており、二人は店へと赴いた。店の主人は確かにジョン・ドウが特注した品を取りに来たと話した。その時、例の女性が見つかったと連絡が入った。

現場へ駆けつけるとドアには「肉欲」と刻まれており、中では女性が死んでいた。錯乱した男が「これを脱がしてくれ」と叫んでいた。

サマセットが男を取り調べた結果、彼はジョン・ドウに銃で脅され、局部の先端に鋭利な刃物がついている器具(ワイルド・ビル皮革店で製作)を装着させられ、例の娼婦の女性に挿入したとことの経緯を話した。

バーで酒を飲む二人、無関心を美德と考える世の中にうんざりしているサマセット、英勇になろうとする若きミルズ。二人の考え方は交わることはなく、平行線に終わる。

・日曜日-第五、第六、第七の事件<高慢、嫉妬、憤怒>-
ジョン・ドウが「またやったぞ」と自身で通報し事件が発覚した。
「高慢」として女性が殺された。顔を切り刻み、助けを呼び醜い顔で生きるか死ぬかを選択させた。

サマセットは事件を最後まで見届けたいと、あと数日相棒でいたいとミルズに頼んだ。署に入り階段を上がっていると、「刑事さん!!」と叫ぶ声が、二人が振り返ると、血まみれのジョン・ドウが立っており、「出てきたぜ」と話すジョン・ドウはその場で取り押さえられた。

ジョン・ドウは指紋を消すために指先の皮を削いでいた。借金も仕事の経歴も全く調べがつかなかった。とにかく金があり教養があり、異常だということしかわからなかった。
ミルズは何か企みがあると考えており、サマセットも同意見だった。二人はジョン・ドウの弁護士に話を聞くとこにする。

弁護士は、依頼人はあと二人死体を隠しているらしく、ミルズとサマセットだけを案内すると話した。断れば精神病を主張すると続けた。
絶対に無罪にはしないと交渉に応じない構えだったが、条件を飲むなら全ての罪を認めると聞き、分署長は二人に判断を委ねる。

ミルズは即応じたが、サマセットは精神病を主張するなら、この一連の会話を反証にすると弁護士に話した、弁護士は、ならば死体を放置したままにしたことも世間にバレると返した。それを聞いてサマセットは「死体があればな」と言ったが、実際ジョン・ドウから誰のものかわからない血が採取されていた、サマセットはしぶしぶ条件を飲むことになった。

サマセット、ミルズ、そしてジョン・ドウを乗せた車が走り出した。空から警察のヘリが追っていた。

車中にてジョン・ドウは、私は特別な人間ではないが、特別なことをしていると言った。この全てが終われば、その結末は人には理解しにくいが、認めざるを得なくなると話し、ミルズに「早く君に見せたいよ、素晴らしい結末だ」と語った。

罪がない人を殺したと言うミルズに、被害者がいかに罪深いかを興奮気味に語り、問題は普通の人の日常的な些細な罪だと続けた。私がみせしめをしたことで、私がしたことを人々は考え、それを学び、そして従うと話した。

ジョン・ドウは荒野の高圧線の鉄塔で車を止めるように支持する。車を止め、荒野を歩く三人、そこへ車が近づいてくるのが見えた。

サマセットが走り車を止めると出てきたのは運送屋の男だった。男はデビッド・ミルズ刑事に届け物だと話した。サマセットは荷物を降ろさせ運転手をその場から離れさせる。

サマセットは恐る恐る箱を開けた。箱の中身を見た瞬間サマセットは仰け反りミルズを見た。サマセットは全てを理解しミルズの元へと走り出した。

ジョン・ドウはその姿を見てミルズに話し始めた。記者としてミルズの家を署の人間から聞き出し、ミルズが家を出たあとに家に行ったと。女房の首を持ってきたと。
動揺するミルズ、戻ってきたサマセットに箱の中身を聞く、サマセットは銃を下ろすように説得を始める。ジョン・ドウはミルズの平凡な暮らしをねたんだ私も罪人だと言った。

「嫉妬」の罪のジョン・ドウに、ミルズが復讐「憤怒」することで七つの大罪は完成する。サマセットは殺せばお前の負けだと説得するが、ジョン・ドウはトレーシーが子供を身ごもっていると命乞いをしたと話した。
トレーシーが妊娠していたことを知ったミルズを止めることはできず、ジョン・ドウはミルズによって射殺された。

放心状態で連れていかれるミルズ。
それを見送る分署長とサマセット、「このあとは?」と問うとサマセットは「何とか・・・やっていくさ」と答えた。

(サマセットのナレーション)
ヘミングウェイの書いた「この世は素晴らしい 戦う価値がある」後の部分は賛成だ。

おしまい。

以下感想

    • なんやかんや
危険な町に奥さんを連れてわざわざやってくるなんて・・・嫌な予感しかしない

サマセットとジョン・ドウ、この世に辟易しております。うんざりのようです。
かたや刑事でかたや異常者、サマセットにおいては随所に「どうしようもない世の中にうんざり」している描写がある。
この二人が陰と陽の関係・・・というと違う気もするけど。とにかくアプローチ方法はおいてといて、二人がこの世に感じている気持ち、この世に対する見方は似ている。
だからこそサマセットは作中でもジョン・ドウの意図を理解することができる。プロファイラーですわ

加えて、サマセットが定年を迎える七日前から七つの大罪になぞられた事件が始まることから、計画当初からジョン・ドウはサマセットが目的だったと言えるよね。ね?
そこへミルズという二人とは対照的な人間、現実にさらされていない若人というのか、とにかく自信と能力のバランスが取れていない、人生で一度は見たことがあろう(そんな時代もあったと思えるような)ある意味無知と言える若者が現れる。

つまりミルズは分岐点にいる存在であり、ジョン・ドウとサマセットは分岐先(極端すぎるけど)である。つまりミルズは兄弟に一つだけ与えられたおもちゃみたいなもの。かもしれない。

したがって、結果二人の戦いの焦点がミルズという存在になっているかなと。サマセットはミルズに何度も説教をかまし、ミルズの選択や考え方を変えようとするも、感情で動く若きミルズは我が道を行くわけで。

ミルズは英雄になろうとした結果、全てを失う。「殺せば負けだ」とサマセットはミルズを説得していましたが、ミルズが負けたというよりサマセットが負けたと言えるのではないだろうか。

いやむしろ、ミルズという不安要素が入ってしまったことでジョン・ドウの勝利は確実になったと言うべきかもしれない。

ジョン・ドウが出頭するまでは雨。そして日が差し、終盤は快晴と、ストーリーが進むに連れて天気も変化しています。
ジョン・ドウの最初のメッセージ「地獄より光に至る道は長く険しい」のメタファーということでよろし?
作中の陰鬱な空気感、雨というだけでなく、全体的に暗さと重さがありまして、「サマセットが辟易する町」の表現としてひしひしと伝わる作りになっている。

    • というわけで
サマセットがトレーシーに食事に招かれた時の大笑いのシーンが作中唯一の安息ですわ
このシーン以外が基本的にシリアスな分、印象に残る。結果、結末で絶望する
必要なものを必要なだけしか見せていない、無駄のない映画。

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