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ジェーン・ドウの解剖

ホラー

Summary

「ティルデン遺体安置&火葬場」を営んでいたトミーの元に新しい遺体がやってきた。その遺体は一家惨殺事件の起こった家の地下で半分土に埋まった状態で発見された。

階上で殺されていた一家とは関係がなく、身分証も指紋の登録もない彼女はジェーン・ドウ(身元不明女性の仮名)としてトミーの元へと運ばれてきた。

Review

2016年制作のホラー映画:R15+指定作品
監督:アンドレ・ウーヴレダル
脚本:イアン・ゴールドバーグリチャード・ナイン
製作:フレッド・バーガー

微動だにしない顔って怖い
とにかくテンポ感が、良い。尺も短めで無駄のない映画ではないだろうか。

以下ネタバレにご注意下さい。

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ストーリー(長いので注意!!)

  • 流れ
  • 「ティルデン遺体安置&火葬場」を営んでいたトミーの元に新しい遺体がやってきた。その遺体は一家惨殺事件の起こった家の地下で半分土に埋まった状態で発見された。
    階上で殺されていた一家とは関係がなく、身分証も指紋の登録もない彼女はジェーン・ドウ(身元不明女性の仮名)としてトミーの元へと運ばれてきたのだった。

    トミーの息子オースティンは彼女と映画に行く予定だったが、後で会おうと彼女を説得し、父親を手伝うために地下の検死室へと戻った。

    2人は身元不明の遺体ジェーン・ドウの検死を始める。
    遺体は20代半ばから後半と思われ、外傷はなく、目の色は灰色だった。死後数日経っているはずの目の濁り具合だったが、死後硬直もなく死斑もでていなかった。
    手首と足首が折れているのに外傷はなく、手と足の爪には泥炭が付着していた。口を開けると舌がちぎり取られており、トミーは過去の経験から人身売買の被害者なのではと仮説を立てた。

    口の中を調べると左下の臼歯が一本抜けており、一本の紐が喉に入っていた。膣内には切り傷が見られ、人身売買の仮説は正しいようにみえた。

    内部の検証に入る。骨の形状からコルセットをつけていたらしく、肺は真っ黒に焼けていた。外傷が全くなく肺が真っ黒に焼けており、内臓には無数の切り傷があった。
    一体どうやったのかはわからなかったが、こんな殺し方をするのは相手を苦しめたい時だとトミーは話した。

    外から音が聞こえ、オースティンが様子を見に行くことに。ミラーに人影がうつり角を曲がるも誰もいない。

    一方トミーは、遺体の骨で怪我をしてしまう。

    オースティンは少し開いている部屋に入り、通気孔を覗く。すると通気口の中を何かが横切り椅子から転げ落ちる。
    様子を見にきたトミーと合流し、もう一度通気孔を覗くと、何かに襲われたのか瀕死の飼い猫がいた。トミーは飼い猫の首を折り楽にしてやった。

    亡くなった妻の形見である飼い猫を火葬し、トミーとオースティンは検死を再開する。
    胃を調べると、麻酔に使われる花が出てきた。その花は北東部に生息する花だったため、遺体は北部から来た人間だろうと思われた。
    次に布に包まれた歯が出てくる。布は古い埋葬布のようなもので、何かの紋章のようなものが描かれ、文字とローマ数字が書かれていた。

    オースティンは誰かが抜いた歯を布で包んで飲み込ませたと考えた。宗教か儀式的なものだと。
    それを聞いたトミーは儀式だと仮定してやり方を尋ねた。
    まず手足を縛り、舌を切断、麻酔に使われる花を飲ませ、布を飲み込ませた。それから内臓を切り刻んで肺を燃やしたとオースティンは話し、まるで生贄だなと言った。

    ラジオでは災害情報が流れており、嵐への警戒を呼びかけていた。するとひとりでにラジオが切り替わり音楽が流れ始める、「ママが教えてくれた 女の子が知っておくべきこと 恐ろしい悪魔とは 仲良くしちゃダメ お部屋に入れたらおしまいよ ゆううつな気持ちでいたら 悪魔から逃げられない・・・」

    オースティンは何かを感じたのか、不安そうな顔でここから出ることを提案する。
    トミーは外傷もなくここまでの傷を負わせることを不思議がりながら、遺体を凝視する。トミーは何かを見つけオースティンに手伝うよう言った。

    Y字切開した皮膚のキワを剥ぐと表皮が綺麗に開いた。表皮の裏には布に書いてあった紋章のようなものが刻まれていた。
    驚愕する2人をよそに音楽は続いていた「しかめっ面してたら悪魔が喜ぶわ・・・」すると突然全ての電球が割れ、あたりは真っ暗闇に。

    2人はエレベーターへ向かい脱出をはかるが、ジェネレーターの電力不足でエレベーターは動かない。直接外に出れる別の出口は嵐の影響で木が倒れこみ塞がっていた。
    携帯が繋がらず、事務所の固定電話から助けを呼ぶことに。遺体を運んで来たバーク保安官と話すが、回線が不安定でまともに会話ができなかった。

    廊下からベルの音が聞こえてくる。遺体についているベルの音だ(昔は昏睡状態としの区別が難しかったためベルをつけており、そのしきたりを今も守っていた)。オースティンが扉の隙間から覗くと安置されていたはずの遺体の足が見えた。

    入ってこようとする遺体、2人はドアを塞いだ。オースティンは全ての元凶はジェーン・ドウだと確信していた。トミーは検死中に負った傷が開きバスルームへ。
    逃げるべきだったと後悔するオースティンがバスルームを見ると人影が、トミーがシャワーカーテンを勢いよく開いたが何もいなかった。
    安心する2人、しかしその時トミーが何かに引きずられ、バスルームの扉が閉じた。
    オースティンが扉を開けると、トミーは苦しそうにうめき倒れていた。灰色の目の何かに襲われたトミー、ジェーン・ドウが元凶で常軌を逸した事態が起きていると認めざるを得なかった。

    2人はジェーン・ドウの元へと戻り火葬場へ連れて行くことにしたが、扉が閉まり外へ出れなくなってしまう。オースティンが斧で扉の一部を破壊すると、その隙間から安置されていた遺体が覗き込んできた。
    オースティンはアセトンの容器を手に取り、ジェーン・ドウにかけた。それを見たトミーはマッチを擦り、ジェーン・ドウに火をつけた。

    ジェーン・ドウが燃え上がり、炎は部屋全体に広がった。消火器で部屋を消火しことなきを得たが、ジェーン・ドウを取り巻いた炎はみるみる消えていった上に、焼けた様子も一切なかった。

    2人が驚愕していると、エレベーターが動く音が聞こえてきた。2人はエレベーターへ走るが、エレベーターは閉じてしまう。
    ベルの音が聞こえ、少しずつ安置されていた遺体が近づいてくる。トミーは斧を握りしめ、構えた。
    遺体が至近距離まで来た時エレベーターが到着し、2人は中へと逃げ込むが、エレベーターは動かなくなり、扉も半分開いた状態になってしまう。今度こそとトミーは斧も構え遺体がくるのを待ち構え、来たと同時に斧を振り下ろした。

    遺体は倒れこみ、オースティンが覗くと、そこにいたのは遺体ではなくオースティンの彼女だった。泣き崩れるオースティンと動揺するトミー。
    エレベーターがまた動き出し、2人はエレベーターに乗るがまた止まってしまう。

    オースティンはジェーン・ドウが自分たちを殺さない事を不思議がった。解剖中、奇怪な現象を起こし解剖を邪魔していたことから、きっと何か隠していると。ジェーン・ドウを調べれば彼女を止める方法が見つかるかもしれないと話した。

    焼却炉の火が強まり、あたりには煙が立ち込めていた。
    2人はエレベーターの扉を開き、彼女の遺体に布を被せ解剖室へと向かう。煙で周りが見えない中、トミーが襲われる。オースティンに肩をかりて何とか解剖室へとたどり着いた。

    オースティンはジェーン・ドウの頭を開き脳を確認する。脳はいたって普通に見えたが、組織を顕微鏡で覗いて見ると細胞がうごめいていた。
    ジェーン・ドウは生きていたのだ。トミーは何か動力源のようなものがあり、彼女を生かしていると考えた。

    オースティンが胃に入っていた布を折りたたむと文字が重なり「レビ記20章27節」となった。他にも1693年と書かれていることがわかる。
    レビ記20章27節「霊媒や口寄せをする男や女がいたら 必ず殺さねばならない その者たちは魔女だ 自身の血の責任を負わせよ」

    17世紀のアメリカ北東部ニューイングランドで起きたセイラムの魔女裁判で魔女とされ拷問された女性、あるいは儀式で魔女を葬り去ろうとした結果無実の人間を悪魔に変えたのかもしれないと考えた。
    トミーは、ジェーン・ドウは拷問や解剖の痛みを感じており、目的は我々に同じ痛みを与えることだと話し、襲われた時にできた自分の傷を見た。だから殺されないのだと。

    彼女自身が儀式を行って関わった人間に復讐している。元々は北部にあった遺体を生き延びた誰かが遠くへと移しここへとやって来たのだろうと推測した。

    遺体がドアを破ろうとしたためオースティンが抑える。その間にトミーは、息子を傷つけないでくれとジェーン・ドウに話しかける、君を救いたいと。
    動かないジェーン・ドウと見つめ合っていると、トミーは苦しみ始めた。トミーの手首が折れるとジェーン・ドウの手首は治癒し、トミーの内臓が傷つけばジェーン・ドウの内臓が治癒していった。ジェーン・ドウの目に色が戻り、トミーの目は灰色に色あせていった。内臓がズタズタの状態のトミーは落ちていたナイフをオースティンに渡し、頼むと言った。オースティンは涙しトミーを楽にしてあげた。

    電気は完全に復旧し、外からオースティンを呼ぶバーク保安官の声が聞こえた、外へつながっている扉にいき、開けようとするが開かない。
    すると扉の向こう側から歌声が「心を開いて 明るく照らしましょう だから心を明るく照らして ニコッと笑うの 笑顔は無敵よしかめっ面しないで だから心を明るく照らして・・・」ラジオから流れていた歌をバーク保安官が歌い始めたのだ。
    階下からはベルの音が聞こえる。オースティンが振り向くとそこには灰色の目をした父トミーが立っていた。
    驚いたオースティンは後ろに仰け反り階下へと転落し死亡した。

    翌日、現場検証する警察。バーク保安官は何が起こったかわからないといった様子。
    歩き回っていた遺体は安置されていた場所へと戻っており、ジェーン・ドウは傷一つない姿だった。
    部下がジェーン・ドウを郡内の葬儀場に送ろうとすると、この遺体の周りで起こる不可解な事態に何かを感じたのか、バーク保安官は群外の大学に運べと命令する。

    ジェーン・ドウを乗せて走る車、ラジオが突然切り替わりあの歌が流れ始める「心を開いて 明るく照らしましょう・・・」
    ジェーン・ドウの足の指がピクッと動く。
    おしまい。

以下感想

  • なんやかんや
  • 存在が儀式だった。ジェーン・ドウに関わると死ぬよ。ということは確かな模様。
    歌で「笑顔は無敵よ」なんて言ってるから、それを信じるならニカッと笑ってれば助かりそうだけども。とにかく法則がよく分からない、ただ結果として死ぬということだけは明確に示している作り
    間違いなくスッキリできる映画とは言えないけれども、そこは好みの問題。

    オースティンやトミーがサヴァイブするような展開ではない。つまり、生き残るための法則が用意されているわけではなく、ただ関われば無慈悲に死が待っているという怖さがある
    ビジュアルとしての恐怖度合いは弱い、ゾンビ的というのか。ただ視覚的なインパクトを必要とするような映画ではないのではないかと。

    尺自体も短めな映画ですけども、テンポ感が素晴らしい映画というのが、まずもってある。多くを語らず、集約した内容になっているかと思う。
    ジェーン・ドウそのものを完全解明するような話にはなっていないが、全体像はつかめる内容というのか、必要最低限の説明ですませるバランス感覚。

    ジェーン・ドウという存在を紐解くような展開もなく、また奇怪な現象に見舞われる2人もまごまごせずに行動してくれる。スピード感を意識した作り。
    テンポ重視と割り切っている感が気持ち良く、個人的好みも相まって好感しかない。

    序盤はどういう系統に走るのかがよくわからない作りで見入り、中盤からはよりテンポ良く進んでいく。
    ジェーン・ドウの顔面カットが合間合間に挟まっていて、「動きそう」と構えさせて、動かない。「生きている」となっても、動かない。このスカし方も好感しかない。

  • というわけで
  • 「遺体を見せて」なんて言ってしまうろくなもんじゃない彼女。彼氏に父親トミーの元を離れるように促す彼女。
    間違いなくフラグが立っている・・・そしてトミーの手によってしっかりと回収される。登場人物も必要最低限で無駄のない映画

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